心は体の解毒剤

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私たちの存在の一分一秒、一思一念、全ての決断は心の影響を受けている。どのような心で向かい合うかがどのような現実を成し遂げるかを決定づける。心の力はどれほど大きいのだろうか。この力は、 1955年にアメリカの医師、ヘンリー・K・ビーシェルによって提唱されたプラセボ効果（Placebo Effect）からも見て取れる。プラセボ効果とは、患者が無効な治療を受ける際、その効果を信じたために病状が改善する結果として現れるもので、このことは信念と期待が本当に生理的変化を生むことを示している。

この「全人（Whole person）— 人は肉体、知性、精神で構成される」という概念を取り入れることで、さらに理解しやすくなる。身体と心は分離できない全体であり、身体の状態は心の健康に影響を与えるし、心の状態も身体の健康に影響を与える。身体と心のバランスと調和が本当の健康である。

*免責事項：本記事で提供される情報は、身体と心との付き合い方に関する態度と哲学的考察であり、医療の助言ではありません。もし身体に違和感を感じた場合、早期に公式医療の助けを求めてください。

身体の病は心の病の顕れ

身体が病気になったとき、確かに主流医学によって対応した病名を与え、症状の処理を行うことができるが、それは通常物質的な身体の表層を処理しているに過ぎない。心を開いて深く掘り下げる用意があるなら、全ての不快感には心のメッセージが対応しており、心が私たちと対話していることを発見する。

心の病は、知性のレベルで、精神的に不快である。バランスを崩した感情が身体の中に蓄積し、個人が耐えられる閾値を超えると、身体という形で表出し、感情には良し悪しはなく、全ての感情は良い感情であり、身体の中に内蔵された保護メカニズムである。怒りは、境界を守り、侵害されないようにする。焦燥感は危機を意識し、リスクを低減させる。悲しみは複雑な感情を消化し、他者に助けを求めるシグナルを発する。それぞれの感情には役割があり、それが快適な状態であろうと不快な状態であろうと、本質的には中立と見なすべきである。

身体と心に不快感をもたらすのは流動させられず排除されず、最終的にはバランスを失った感情であり、それらは身体に現れる、つまりは「症状」と呼ばれるもので、これが「身体の病は心の病の顕れ」と言われる理由でもある。そして医学では「情報医学（Information Medicine）」の分野にも派生している。この分野には、身体と心と魂の統合を目指す医学に携わっていた故崔玖氏や前台大学長李嗣涔氏が優れた観察と研究を行ってきた。

*情報医学は、電子機器を使って身体の各部分の相互作用から生じる共振を検出し、身体全体の状態を判断して、適切な身体・心・魂の癒やしの指針を提示する方法である。これらの相互作用は、臓器同士、細胞間、個体間、さらには個体と環境との間でも発生し、非常に細やかな総合医療方式である。

心病は心薬で治す

主流医学に「心身症（Psychosomatic disorder）」という用語があり、環境や社会要因などが心に影響して身体の病気や症状を引き起こす、心因的な問題を意味する。そして中医が語る「情志病」— 怒りは肝を傷つける、喜びは心を傷つける、悲しみは肺を傷つける、思い悩むことは脾を傷つける、恐れは腎を傷つける — も同じ概念である。心のレベルの失序が原因で、身体のレベルの異常が現れるのであるため、当然心に着手することで根本治療ができる。

人は非常に繊細で敏感な存在であるが、多くの人が自分を「麻瓜」と思っている可能性があり、また中国人社会は感情の面で控えめであり、エネルギーや感情の把握に遅れがちである。しかし「感じられない」からといって身体に影響がないわけではなく、エネルギーや感情は見えないが依然として存在している。多くの練習と注意深い観察を通じて、敏感さを取り戻し、早期に意識し、早期に自身の状態を調整することができる。

自身の感情への気づきを保ち、身体からのメッセージに注意することで健康を保持しやすくなる。身体の部位それぞれが、心理的メッセージに対応しており、先人の知恵や私たちの日常言葉にもすでに表れている。「苦を腹に収める」「満腹の訴え」という意味の言葉を示すように、苦しみと訴える感情は腹部に蓄積され、この不快感はガスが溜まるか便秘になる場合がある。「重い責任を肩に抱える」は責任や負担のことであり、行き過ぎると肩や首に緊張、痛み、硬直を生む。「心が裂けるような悲しみ」は極度の悲しみであり、心臓と肺への影響として、心の痛みや息苦しさが表れることもある。

注意すべきは、全ての人は独立した個体であり、各自異なる家族基因や人生経験を持ち、他者と比較できないということだ。他の誰よりもよく耐える、より我慢することはない。自分の身体のメッセージ、自分の心の癖を捉えることで、心から取り組む解決策を得ることができる。

心の転換、思考の転換、体を解放する

バランスを欠くことが病気の原因であるため、内面的な平和を取り戻すことが重要で、「心念」の転換が心平和を保つ鍵である。

心念とは人の考え方のことで、遺伝や生活環境、人生経験によって影響を受ける。それは一種のフィルターであり、それを装着するとどのような状況を見るかを決める。しばしばそのフィルターは予め設定されたモードで自動的に実行され、この設定を変更し、新しいフィルターを適用する権限があることを意識せずにいる。

幸運なことに、意欲さえあれば、いつでも新しいフィルターを切り替え、旧来のパターンから脱却することができる。以下の活動は、心念の変革を促す助けとなる。これらの練習は心念の変革を助けるだけでなく、意図的で繰り返しの練習は大脳の神経回路の再形成をも導き、新しい反応パターンの形成を助ける。

正の言葉で表現するよう練習する。「今日はとても不愉快だ」は「今日はもっと楽しいことが必要だ」に置き換えることができる。「腹が立つ」は「強い感情の波動を感じており、自分の心の態度や方法を調整する必要があることを思い出させてくれる」と置き換えることができる。自然とのふれあい（近所の公園でも良い）によって、不快な心境から距離を置き、息をつくことができる。瞑想はストレスを軽減し、感情を安定させ、集中力を高め、思考を明晰にするのに寄与する。視点を変える試み、肯定的な書籍を多く読む、前向きな人と接触することがネガティブな考えを変えるのに役立つ。異なる側面を見たとき、新しい視野、新しい考えを創造することができる。

生命の刺激に対して従来の慣習的な反応法から抜け出して応じると、過去の悪循環を打破でき、心に起因する身体に蓄積された不快感も休息の機会を得て、少しずつ解放され、ゆっくり回復していく。これが「心で体を調整する」ということである。一念が天国か地獄かの差を作り出し、全ての思考が心身の健康を支配している。正念と善念を保つことが最良の健康維持法である。